富士通を退職しました。いい点/悪い点

辞めました。お世話になりました。

 

1.へびつかの現職でのキャリア

(1)キャリア

新卒より10年ほど現職で働いています。部署は4回ほど異動しており、システムエンジニア・営業に所属していました。社内昇格をしており、G2、G3、G4、SPと上がっています。富士通は、総合ICTベンダーであるため、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・コンサルティングなど幅広く携わってきました。一方で、あまりそれぞれのソリューションに深みや知見はなかなかつきません。事業部などにいると同じソリューションに携わるなどできますが、協力会社に発注していることが多く、あまり具体的な知見がつかないように思えます。これは社内で事業部のプロパーと話していても詳しい回答がこなかったりするので本当だと思います。つまり、大企業のジェネラリストの集まりで、まずまず上手くやって昇格をまぁまぁしてきたと言うところです。

 ところで、階層の話をします。

一般企業でいう階層だと、G2=担当、G3=主担当、G4=チームリーダー、SP=係長のようになるかと思います。SP=係長より上はマネージャ、シニアマネージャ、部長、統括部長、事業部長、役員のようにレンジが上がって行きます。昇格の都度、試験がありますが、SP、マネージャが大変なイメージです。その後は、統括部長になるとあるそうですが、何をしているのかは知りません。昇格プロセスはかつては部門上位層の推薦により進んでいました。が、現在は、ジョブ型への移行を進めており、公募で昇格するようになっています。が、実態は部門にいる人がそのまま上がっていく感じに見えます。

 (2)会社紹介

売上4兆円弱、従業員数10数万人の日本を代表する大企業です。 ITサービスでは日本でNo1の会社です。ICTに関するソリューションをほぼほぼカバーしています。一般的にはパソコンやスマホのイメージがありますが、パソコンはレノボへ、スマホベンチャーキャピタルに売却しています。主なビジネスはBtoBのITサービスとなっています。ITサービスは、コンピュータが世に出始めた時から、現在のクラウドといったところまで日本企業を中心にサプライしてきた企業です。ちなみに国産初のコンピュータを商用で販売した会社です。IBMのパクリですが。クラウドは国内でもトップクラスの実績を歌ってますが、単にAWSマイクロソフトAzureを再販しているだけです。開発力やメーカーとしての力は落ちており、いわゆるSIerとほぼほぼ変わらない事業になってきたと思います。年功序列終身雇用のいわゆる日本的大企業ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を謳っており、人事制度・社風・SIerからの脱却などに取り組んでいます。

 

2.現職の退職理由

 かなりいい環境ですが、あまり若手にはおすすめできる環境でないことが理由です。一番向いているのは、ゆるく仕事をしたい、安定的な収入や世間体があればいい、という いわゆるくたびれたおじさん向けの会社だからです。ここにいても力があまりつきません。

(1)大企業的な仕事が多い

いわゆる大企業のリーマンの業務をこなすことが多いです。そして根回しなどがとても大変です。社内打ち合わせばかりしています。理由は大企業でICT全般を扱えますが、それぞれ担当が別れており、個々の調整をひたすらやるからです。お客様から情報提供依頼や紹介依頼を受けて、返信するのに2、3日かかるとか訪問までに1ヶ月かかるとかザラです。インターネットが普及してBtoCでは即レスがきたりとかするこの世の中で、このスピード感はまずいと感じます。が、化石企業なので仕方ない面もあります。

(2)事務処理が多い

事務処理が死ぬほど多いです。そして、昔に作られたシステムをあいかわらず使っているので非常に使い勝手が悪いです。こんな会社がお客様にシステムを提供しているのかと絶望します。医者の不摂生とはまさにこのことかと感じます。まずインターフェースが悪いです。そして、エラーメッセージが完全にシステムよりなものしか出ないので、どうやって修正するのかさっぱりわかりません。でワークフローで処理は完成せずに、メールやエクセルで承認部門に依頼を出すという、手作業がめちゃくちゃあります。システム化しろよと言う感じです。DXと叫んでますが、DXの意味をわかってませんね。

(3)社内調整が多い

調整ばかりしています。社内での打ち合わせ、上長への打診、根回し・・・。お客様にアウトプットするまでにとても時間と手番がかかります。そして各部門の利益や思惑を調整しなければ行けないので面倒臭いです。お客様を見ている人は本当に少ないです。トップダウンで進むこともほぼありません。トップも責任範囲がそれぞれの部門になっていて、所詮調整をするだけだからです。と言うことで、1日の大半を社内調整で過ごします。 

(4)スキルが身につかない

スキルが身につきません。なぜなら、事業部にいても具体的な仕事は協力会社に発注するからです。営業は幅広くソリューションを扱うので一つ一つを深く掘り下げる時間がありません。社内調整と事務処理と社内リレーションが身につきますが、世間一般での力はつかないと思っておいたほうが良いです。

(5)出世のみがモデルで「憧れる」ような人がいない

上記のような環境なので、サイロ化された現職ジェネラリストマンだらけになります。経営を語るとかまず普段付き合う人にはいません。役員クラスになればそういう機会や人がいるかもしれませんが、何10年も勤め上げて出世の階段を上り詰めるような、とても少数の人にしかそのような機会はありません。

(6)頑張ろうががんばるまいが給料が一緒

年功序列のため、頑張っても別に差がつきません。ボーナスで数万円程度です。残業は全額つきますが、働き方改革により年間360時間までとなっています。基本給の低い若手時代はかなりきついです。手取り月20万円もないなんてことザラにあります。おじさんになってくると給料は上がって行きますが、10年くらいかかります。なので死ぬほど頑張っている若手よりも、くたびれて適当に仕事をしているおじさんの方が給料が高いです。そしてなぜが年上がえらいと言う考え方なので、こういうおじさんに呼び捨てで呼ばれます。とてもやるせない気持ちになります。G3=500万円、G4=700万円、SP=900万円、マネージャ=1000万円くらいの年収です。20代はG4になる人は少ないので、ひもじい20代を送ります。とても大企業とは思えないです。

(7)会社としての将来性がない

ITサービス国内No1、DXとか言ってますが、単なるSIerです。 ハードウェアをグループ外にするなど開発力が落ちています。ま、もともとIBMのモノマネと国策会社なのでマーケットの求めるものをアウトプットする力が強いほうではありませんでしたが、拍車がかかっています。クラウドとか言ってますが、AWS、Azureの再販をしているだけで、あとは請負型で顧客から言われたことを人工で人うりしていることが多いです。つまり会社としての資産的なストックはなくなっており、積み上がらないフローのビジネス形態になっています。ストック形成は、サイロ化された組織により、開発・販売の利害調整に死ぬほど時間と労力がかかることから、とてもではないですが現場の人間でできる仕事ではないです。そもそも役員クラスでやるべき仕事ですが、具体的に取り掛かりません。やってくれよ、って感じですが。と言うことで、会社としては 競合がSIerになっており、価格競争の面が多くなっています。コンサルやDXで差別化をしていく方針だそうですが、具体的なものはなく、かつてのお客様とのリレーションで持っているような感じです。と言っても世の中がデジタル化し情報が行き渡るようになったり、システムがオープンなものとなるとに依頼すべき正当な理由がなくなり、他との競争となり、SIerを選り好みするような時代がくると思います。そうした時に富士通がどうなってしまうのか、暗いシナリオが浮かびます。

3.良いところ

とてもいい会社です。散々悪い点を書いてしましたが。。。

(1)大企業の安定性

安定してます。頑張らなくても給料はそれほど減らないし、よっぽど変なことをしなければ減給することもないです。なのでゆったり過ごすにはいい環境です。

(2)ネームバリュー

なんてたって 天下のFさんですからね 笑

住宅ローンも落ちることがないです。

(3)落ち着いた社風

ガツガツすることなく過ごすことができます。ネットサーフィンしているおじさんがどこの部署にもいます。コロナで完全テレワークになったので、こそこそせずに堂々とネットサーフィンしているのだと思います 彼らは。平和でいい会社です 笑

(4)真面目な人が多い

まぁまぁ優秀な大学からきている人が多く、またチャラチャラしている人が少ないです。良い子ちゃんが集まっている感じです。早稲田卒がやたら多い印象です。学閥はありません。どの大学出身とか皆んな知らないし、聞くことも聞かれることもほとんどありません。

(5)終身雇用、年功序列

伝統的な日本の大企業ですから。ジョブ型になっていくようですが・・

 

読んでいただきありがとうございました。